ギリギリの女
私は中国・上海にいた。 初めての海外一人旅。 行きと帰りの飛行機チケットだけ取って、あとは気ままに街を巡る。 旅の開放感からか、知り合った数人で夜ごはんを食べた。 その中の中国人の若い女社長に誘われて、翌日、彼女の会社に遊びに行く。 結構立派な社屋の一室で、彼女おすすめの映画を観た。 その日は夕方の便で帰国する予定だった。 映画一本観ても間に合うだろうとたかを括っていたら、一向に映画は終わらない。 時間ばかりが気になって、映画の内容なんてまるで頭に入らない。 ついに彼女に「ごめんなさい。帰りの飛行機の時間なの」と切り出した時には離陸10分前。 空港へ走る道すがら、いくらチケットを持っていても、国際線の飛行機に駆け込み乗車できるわけがないことに気がついた。 なぜ私はいつもギリギリなのだろう。 私の乗るはずだった飛行機が頭の上を飛び去って行った。 中国語はもちろん、英語も怪しい私は、これから今晩のホテルと帰りのチケットを取らねばならないことを考えてとても不安になった。 チケット売り場へととぼとぼ歩いていると、昨晩一緒に食事したうちの、一人の日本人青年にバッタリ再会。 わけを話して通訳してもらおうとお願いすると、「僕も全く話せないよ」と言ったが、半ば強引に付いてきてもらう。 一人より二人の方が心強い。 空港に来てみると、チケットは券売機で売っていた。 親切にも、券売機1台ごとに案内の女性が付いている。 空いていた券売機に近寄ると案内の女性が、 「ワタシ、ニホンゴ、エイゴ、ウマクナイ。イイ?」 と開口一番に言った。 案内係なのに語学スキルがないって…と、ガッカリしたが、券売機だし、なんとかなるだろうとがんばってみる。 が、いくらがんばってもチケットが買えない。 案内のお姉さんと意思疎通できない。 ああ、私はもう、日本には戻れないのか? しかし、自業自得なのだ。 いつもギリギリで生きているから、こういうことになるのだ。 もっと余裕をもって、空港に来ていれば、こんなことにはならなかった。 ああ… というところで目が覚めた。 昨日見た夢である。 久しぶりに壮大?な夢だった。 何せ、海外物語だもん。 楽しい夢と嫌な夢、見るならどちらがいい?という質問に、嫌な夢の方がいいと答えた人がいた。 その理由が、目が覚めた時に「夢で良かった〜」と感じられるからなのだそうだ。 確かに楽しい夢をみ